保護猫

③保護猫さびちゃんとの生活が始まった

さびちゃん

前話のおさらい

ずっと探していたにゃんちゃんをやっと見つけた私は、そのまま抱き抱え、家に連れて帰った。私の腕の中で抵抗することなくじっとしているにゃんちゃんは涙が出そうになるほど、軽かった。私はこの子に「さびと(仮)」と名付けた。

保護猫さびちゃん
②保護猫さびちゃんがうちにやってきたその夜、私は寝付けなかった。 「私が見捨てたら死んでしまうんじゃないか。」 「いや、これまでも生きてこられたんだし、きっと大丈夫。」 そんなやりとりが、頭の中で無限ループしていた。 朝方ようやく眠りについて、起きてすぐ、いつものようにベランダに出てにゃんちゃんの姿を確認したけど、いなかった。 外は寒かった。とっても寒かった。その日も、1日中にゃんちゃんのことが頭から離れなかった。...

翌朝、起きると、うちに猫がいた。

昨日連れて帰ってきたから当然なんだけど、私の生活に猫が存在するこの状況にまだ現実味がなく、変な感じだ。

さびとは、私の目を見ながらしゃがれた声で「にゃー」と鳴いた。
何が言いたいか分からなかったので、試しにご飯をあげるとガツガツ食べた。正解だったようだ。

さびとがご飯を食べ終わるのを見届け、顔を洗おうと鏡を見ると私の目はパンパンに腫れ上がっていた。早くも猫アレルギーの症状が出ている。さびとが動くたびに、くしゃみと鼻水が出る。

でもまぁ、我慢できないほどではない。今は、とにかく目の前にいるさびとをなんとかしなきゃ。

今、さびとに対してするべきことは、シャワーと病院。

まずは、シャワーをすることに。
私は猫を飼ったことがなく、いきなりシャワーは難易度が高いので、Kちゃんにお願いした。

大暴れすることを覚悟していたけど、予想に反してさびとは終始じっとしていた。
長年手入れしていない毛は執拗に絡まり、一度洗ったぐらいではほどけなかったし、その毛玉の間には無数の得体の知れない小さくて黒い何かがいっぱい付いていた。

Kちゃんは「どこを触っても骨が浮き出てゴツゴツしている。さびとご飯どうしてたんだろう。」と悲しそうに言いながら、優しく優しくさびとを洗ってくれた。

保護猫

だいぶ、綺麗になった。

次は病院。
私は、現実的にさびとをこのまま飼うことはできない。
あくまでも一時的な保護で、次の飼い主さんのもとへ送り出すための世話係のつもり。そのためには、現在の健康状態や去勢手術済なのかなど、さびとの現状を知る必要がある。

だけど、ここで問題がある。

そう、お金。

さびとを拾っておいて無責任なことをいうけれど、今の私に金銭的余裕は一切ない。
私のメインのお仕事はイベントMC。新型コロナウイルスの影響をモロに受ける、というか一番最初に影響を受けた業種のひとつで、かれこれ1年近く仕事がゼロだった。

物心ついた頃からずっと動物と暮らしてきたから、動物病院の費用の高さは知っている。

綺麗事抜きで言うと、何年も一緒に過ごしてきたペットならまだしも、昨日連れて帰ってきた子のためにいきなり何万円もの大金を出すことは、正直ツライ。自分が食べていくのもやっとの状態だからなおさら。

もちろん、病院に連れて行かない選択肢はないけれど、できるだけ安く抑えたい。

そこで、保護猫活動や地域猫の保護活動をしている知人に相談してみたところ、すぐに私が暮らす地域の保護猫施設の詳細を送ってくれ、そこに相談したら良いと教えてくれた。

ちなみに教えてもらった施設はこちら(調布市)。

繁殖猫として働かされてきた子や、ほんの僅かな理由で売り物にならないからと放棄された子、動物実験に体を使われていた子など、人間の身勝手により振り回され、しなくていい苦労を重ねてきた子達を保護している施設で、里親になることはもちろん、猫カフェのように猫ちゃんたちに触れることができる。

その際にかかる施設利用料(1,000円くらい)は全額保護猫ちゃんたちのために使われるので、猫ちゃんと触れ合いたい方、猫ちゃんが好きな方、ぜひ!!!保護猫ちゃんたちの餌代、治療費などになります。

公式インスタでは里親さんを待つ可愛い猫ちゃんたちが紹介されています。

 

話は戻って。

ドキドキしながら電話をし現状を伝えると、担当者の方は何度も「保護してくださってありがとうございます。」と言ってくれ、そして、この保護施設がいつもお世話になっているという動物病院を紹介してくれた。

保護猫料金で見てくれるらしい。ありがたい。

私はすぐに動物病院に電話し、さびとを連れていくことにした。

電話に出た先生の声はとても優しかった。事前に「何にいくらかかるか」を具体的に教えてくれ、無理のない予算の範囲内で出来ることをすると言ってくれた。

病院はうちから電車で1駅。そこから少し歩いたところにある。

キャリーバッグの中のさびとは、見慣れない景色を興味津々に眺めていた。

まさかこの時は、この道をこれから何ヶ月もの間、何十回も通うことになるとは思ってもみなかった。

去勢手術について聞くくらいの軽い気持ちで病院に連れて行った私は、さびとに関する衝撃的な事実を知る。

思えば、この日から、私とKちゃんとさびとの大変な毎日が始まったんだ。